著者: ゲイリー・ハメル
かなり読み応えというか、考えさせられる本でした。
著者は方法・理論を提示するのではなく、多くの事例をあげて様々な質問をこちらに投げかけてきます。事例は本当に説得力がある。本当に行われていること,現実ですし.私なりに知っている例も多くありましたがそれでも,いまの会社の状況つまり制度・価値観が,これからの予想される未来に対して,いかに遅れているのか考えさせられました。
導入部分にはこのような紹介.
> IT技術の進歩に伴い、製造現場やマーケティング調査、営業など仕事のスタイルが大きく変わっているのに経営原理だけは古いまま。
言われてみれば確かにそうかもしれないと思いました。
変える必要がないわけではなく、変えることでどんな良い結果がでるか想像すらできないから変えようとも思っていない。一つのフレームワークに拘ることの危険性を私自身は反省することになりました。つまり,変化は受け入れるべきだし,その結果起きることをできる限り想像する必要があるのだと意識するようになりました.
実はこの本は数年前に読んだ本ですが,いま改めて当時の自分のメモをみて,思いを新たにしているところです.この本と出会う前,重要なのはマネージメントだと思っていました.優秀な「管理」ができれば,仕事はもっとうまく回るのではないかと.
でも,日常,業務をこなし,転職を幾つか経験し,多くの人たちと交流するうちに今のやり方の何が効率がよいのか,または,何が優れているのか,分からなくなっていました.
その中でこの本で書かれている警告は,多くの揺さぶりを与えてくれました.
自分にとって,インパクトのあった,他の多くのことに応用できるのがこの言葉です.
水に浸かっていない世界を想像できない魚のように、我々の大多数は自己の経験の枠と一致しない.経営管理慣行を想像できないのである。我々の言語さえ、我々のパラダイムの考えに縛られている.一例として、階層構造の考えが経営管理の用語にどれほど深く浸透しているか考えてみよう。
「指揮系統」「ピラミッド」「上司」「部下」「組織のレベル「トップダウン」「ボトムアップ」「カスケード」
これらはすべての用語が権力や権威の公式の階層を前提としている。今度は「格子構造」、すなわち「ネットワーク型組織」の特徴をいい表す言葉を思い出してみよう。どれだけの用語を思いつけるだろうか。そう、それが問題なのだ。
言い表す言葉が存在しないものは、なかなか想像できないのである。
この本で述べる未来は,多くの人類にとって明るいのでしょうか.
第10章より,抜粋.イノベーションを起こすために気をつけること.
教訓1: システムの問題を解決するためには、その根本原因を理解する必要がある。
教訓2: 少なくとも最初のうちは、既存の経営管理プロセスを取り替えるより、それを補うほうが簡単だし安全だ。
(新しいプロセスを古いものと並行して走らせよう)
教訓3: 革命的な目標に取り組み、進化的に前進しよう
教訓4: 自分が改善しようとしているパフォーマンスの測定基準を明確にしよう
教訓5: 政治的リスクが最も低い自分の管轄範囲で実験することから始めよう
教訓6: 可能な限り、ボランティアに頼ろう
あなたも自分の経営管理イノベーションの最初の実験を、取得しなければならない
承認の数を最小限にすると共に、新しい有益なことを学ぶ可能性を最大限にするように設計していただきたい。
教訓7: 実験をゲーム感覚の非公式なものにすることによって反対をそらそう
教訓8: 実験と学習を繰り返そう
教訓9: 諦めるな。イノベータは粘り強くなければならない
ウェブ2.0とマネジメント2.0は似てる。
以下、インターネットの特徴
・実験が手軽に安く行える
・権力は下から与えられる
・参加は自主的である
・資格や肩書きより能力がモノを言う
・創造のツールが広く配布される
・すべての人が発言権がある
・権威は流動的で加えられる価値に付随する。
・唯一のヒエラルキーは「自然な」ヒエラルキーである。
・全てが分散的である。
・売手と買手が互いに相手を見つけることができる。
・資源が機会に従って自由に移動する
・決定は仲間の間でなされる
結構,前に出た本ですが,いまだにこの本の記述の未来とは差があるし,この未来は外れてて,来ないのでしょうか.でも,調べればこういう企業は結構あるのも事実なのです.
なんか,まとまりのない文章で申し訳ないのですが,また別の記事で触れられる時がくればいいなと思います.