2011年07月27日

リスクのモノサシ読了





たまたま,震災後にこの本を読む機会があったのですが,あのときの放射線騒動(いまも収まってませんが)に対して,一歩身をひいて考えるのによい本でした.

単純に,一方通行の情報だけで判断するのではなく,できるだけ幅広い選択肢の中から判断する力をつけることを意識したい.

例えば,通常の100万倍って言われれば,これがなんなのか分からなくたって多くの人は関心を持つし,驚く.視聴率をとってなんぼのメディアは当然,こういった数値トリックは多用すると思う.僕達はそれに振り回されない情報リテラシーを求められている.

書籍の中でもこのように書かれています.文章は引用ではなく,こんなニュアンスとして載せています.

■マスメディアの報道スタイル
マスメディアはその幅の中で悲観的な報道をしがちである.これは,指標の範囲が1~10のリスクとしたら,マスメディアは10いう数値で物事を語る.10の起きる確率が非常に低く,実際には5になる可能性がほとんだとしても.という例.



マスメディアが何らかの問題を取り上げられる場合,いわゆるニュースバリューが重要になる.したがって,目新しい問題がニュースとして取り上げられやすく,このことは必然的にごく小さなリスクにメディアの目を向けさせることになる.



本は大きく分けて,3つの視点と考えればいいでしょうか.

・第一点はマスメディアの情報提供のあり方
・第二の理由として専門家によるリスク表現と専門家内の対立.
・第三の理由はリスク情報を受け取り,解釈する個人の心に仕組みにある



この書籍で特に一番いいたいことは,「どのようにリスクを評価するか?」ということに尽きると思う.少なくとも,自分が一番身につけたい知識はこの部分だと思ってます.

章の中では,「リスクのモノサシを創る」という章が一番おすすめなので,時間のない方はここだけでも.でも全体的に良いことが色々かいていますよ.事例も多いし,こんなことあったなぁという日本のニュースが沢山です.例えば,ダイオキシン騒動,環境ホルモン,SARS,狂牛病について詳しく取り上げています.狂牛病については,僕自身,人生にそれなりに影響を受けましたのでより親近感があります.

集団パニックを起こさないためにも,ぜひともリスクに関心ある方は,目を通してほしいと思います.

例えば,リスクの判断方法ではこのような考え方は役に立つかと思います.

ハーバード大学にある「リスク分析のためのハーバードセンター」では一般消費者が氾濫する健康情報を受け止めるときの心得とでも呼ぶべき「10の質問」を提案していた.

1) メッセージはなんなのか
もう半分終わった,まだ半分終わったと言葉の使い方で印象が異なる.

2) 情報源は信頼できるか?
3) 主張の根拠となる証拠はどれくらい強力なものか?
4) このリスク情報は自分に関わり深く,重要なものか?
5) その数字は何を意味しているか?
6) このリスクは他のリスクと比べてどのくらいの大きさだろうか?
7) リスクを削減するために何ができるか?
8) 何とトレードオフしているか?
9) 他に何を知る必要があるか?
10) どこに行けばもっと良い情報を得られるか?



放射線に関しては,ここのパワーポイント資料が参考になります.
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/nuric/docs/biosci4.ppt



以下は,適当に抜粋.


・リスクのトレードオフについて.

この数年で登下校時の学童,園児が命を奪われる悲惨な事件が何件も発生し,<中略>人影の少ないほうが当然,誘拐犯に狙われやすいだろうつまり,送り迎えをする保護者が増えることは,そうしてもらえない子どもが犯罪に巻き込まれたり,事故にあっても発見されるのが遅れてしまったりする可能性を高めることになるのである.このようにリスク削減が他のリスクを増大させるというリスク間のトレードオフ(二律背反)は,ほぼすべてのリスク問題に見られる関係である.




・専門家がもたらすリスク評価について

"人が自分と違う意見の持ち主に出会うと,「彼らはイデオロギーに凝り固まっていて,判断がゆがんでいる」と十分な根拠のないまま思い込みがちということである."このような考え方はマスメディアや第三者に対しても波及し,メディアは敵対勢力に肩入れしていると見なすメディア敵視効果や,自分の判断にそぐわないリスク評価をする第三者機関について敵対勢力の息がかかっていると見なすことに繋がるのである."


これは,正当化バイアスの話だったかな.



・低確率領域でのリスク認知について

確率に対する重み付けは比例しているのではなく,低確率の領域では一定の重み付けがされたままになる.宝くじを買う人がよくいうのが「買わなきゃ絶対に当たらないけど,買ったら,当たる可能性はある」というセリフである.宝くじの当たる確率が500万分の一でも5000万分の一でも,主観的な『当たる可能性はある』という思いはそう変わらないだろう.


不思議ですよね.確率としては大きく異なるのに,買う方の動機にはあまり影響を与えません.



このようなことが多く書かれている本です.


あ,あと,本,読んでないけど,興味あるっていう人は連絡くれれば雑談しましょう.
posted by maplewine at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | book | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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