かなり前に読んだ本ですが,過去のことを思い出す意味でここにも書きます.
鏡を作るコミーを物語の中心においた話です.
社員16人しかいないけど,世界に通用する製品を売っている,これだけでも興味はあるが,たまーに(大田区の町工場とかで)聞く話でもある.
こんな少人数の会社でもコミュニケーションに対して,ものすごく時間と労力を費やし,仕組みを作っている.それが,この挑発的な本のタイトルにも繋がっている.
チームビルディングにアンテナの高い自分には一気に引きこまれてしまい,自分にはひさしぶりにたくさんの付箋を貼った本になった.
コミュニケーションに関する話というよりも,仕事を通じて,アイディアを出したり,ニーズを探したり,そういうヒントが沢山散らばってる本でそういうことに興味ある人にはお勧めです.以下は,一部抜粋した例です.
・思い込みを取り除く
エレベーター用のドアの横にあるミラー.これによって,乗り残し・はさみ込み防止を目的として売り出していた製品だったけど,エレベーター利用者はこの目的に気づいている人がほとんどいないという事例.自分もミラーの存在をしらなかった(もちろん,ついていない設備もある).
ユーザがどのような目的で使用しているかは,使用者に聞いてみるまでは分からないとの経験からコミーでは,現場に行って聞きまくることを実践している.
何のなければ,それはそれでいいし,役に立っていないことがわかればそれもまた収穫とのこと.多くの会社と違うのは,利益になる見込みなど度外視で客先を訪問し,使用者のニーズや満足度を調べる.
こういうのは人数の少ない会社などでないと出来ない部分,つまり差別化出来る部分だろうなと思います.
幾つかの会社を観てきて,大企業というのは安定している面はあると思いますが,風通しの良さに関しては「部署による」で済まされてしまうところがあり,上司次第で仕事のやりやすさが決まるという点が強い.
中小企業なら,ボトムアップでも全体に意見が行き渡ることもある.こういう点は強みとして磨ける企業は強いだろうなと考えています.
・大量注文が入ると,不安
「まとまった数の注文が入ると現場に出向くことが多い.『たくさんの商品が役に立たなかったらどうしようと,不安になるんです』と,営業担当は言う.」
このプレッシャーは分かりますが,ちょっとかわいらしい.
・使い方は単純でも誤解は生じる
「商品の選び方や使い方に問題があり,その結果あまり役に立たないというのは,本来購入者の責任かもしれない.
だが,徳永営業部員は言う.『また買うか,もう買わないか.それはユーザーの判断にかかっています.』」購買担当者が,現場の店員に役になっているか確認し,いいえと答えたらそこで終わってしまう.
つまり,購入者の責任で終わりにしてはいけないということは新たな視点をもらいました.
「そこまでして,競争から逃げようとする経営者はあありいない.だが,これこそがコミーの本領なのだ」
資本主義社会の中で,競争から逃げる会社なんて,考えたことなかったし,そういうところで働いたこともない!
やりたいことを実行する,自分たちも楽しい会社というのは色々あるけど,これはもっとニッチな会社だなぁと思ってしまった.そういう立場から見える世界も見てみたいなぁ.
・「じゃあ,縦社会で経済戦争を勝ち抜いてきたサラリーマン時代の同期はどうかというと,自虐的に
『俺達の世代は食い逃げだよな.今の若い人達はかわいそうだ.いくら働いてもどうにもならないもの』と
ゴルフの毎日に明け暮れている.『食い逃げなんかせずに,日本を元気にする社会活動をしてくれ』と言いたい.」
自分は,以前からこの世代の人達はいまの10代,20代の人たちをどう見てるんだろうと気になってたので,
この一文は意見の1つとして印象に残った.
食い逃げという自覚はあるのね.そういう世代がまだ働いているうちに年金制度をどうにかしようよ.
最後に.
内村鑑三氏の言葉が書籍の中で引用されていました.
"成功の秘訣" - http://www.h2.dion.ne.jp/~mulberry/sub4-5.htm
全文引用載せます.
<成功の秘訣10か条>
040722新規
マルベリー 吉井信秋
<資料>
内村鑑三氏が星野温泉の若主人に書いたものです。
同窓会報より転載。
=内容=
大正15年7月26日 星野温泉若主人のために草す
成功の秘訣
六十六翁 内村鑑三
1.自己に頼るべし、他人に頼るべからず。
1.本を固うすべし、しからば事業は自ずから発展すべし。
1.急ぐべからず、自動車のごときもなるべく徐行すべし。
1.成功本位の米国主義に倣うべからず、誠実本位の日本主義に則るべし。
1.濫費は罪悪と知るべし。
1.よく天の命に聴いて行うべし。自ら己が運命を作らんと欲すべからず。
1.雇人は兄弟と思うべし、客人は家族として扱うべし。
1.誠実によりて得たる信用は最大の財産なりと知るべし。
1.清潔、整頓、堅実を主とすべし。
1.人もし全世界を得るともその霊魂失わば何のためあらんや。
人生の目的は金銭を得るにあらず。品性を完成するにあり。
以上
ラベル:impression Book